天がさだめた運命すら変えてしまう始祖の転生。
 

その力を、真紅は自分に迎え入れることを決めた。
 

覚醒の前夜、真紅は月御門白桜を訪ねている。


黎が鬼人であり、自分には陰陽師以外に退鬼師の血が流れていると知って、黎を失いたくないがために、退鬼師としての、陰陽師としての力を捨てることを考えたのだ。
 

白桜は否定しなかった。つまり、真紅には選択肢があったのだ。


二度とその力を得られないことを承知で力を捨てるか、力を己のものとして別の道を探すか。
 

ことは、真紅が選ぶ前に起こった。


真紅は、真実は知らないが、一人の陰陽師の介入によって、真紅の力の目覚めと、真紅の力を封じた紅緒の目覚めの時間が早まったのだ。
 

それによって黎の命は助かったのだが。