「謝らなくていいよ。悪いことしてるんじゃないし。……斎陵への転校を願ったのは、私だし」


「でも、請けたのは俺だよ。自分の意思でここに来た」


「………」
 

架が斎陵学園へ転校して、二週間になる。まだ慣れないようだ。


……と言うか、転校前と架の状況はあまり変わっていない。勝手に王子様然と見られているのだ。


それをうまくやり過ごしながら、桜城の人間としても動かなければならない。


疲労もたまるだろう。


――桜城の人間であることは、旧い血筋の多いこの学園では特筆すべきことの一つにあげられる。