「若君は御父君(ごふくん)の力を継いでおられる。が、その力はまだ眠っているんだ。 若君の中にあるのか、散り散りになった無涯御大(おんたい)に残っているのか……そこまではわからないけど」 「………」 無涯。黒藤の父の名だ。 「……お前はよく知ってるなあ」 「兄貴が家にいない所為で俺が跡継ぎ任務を押し付けられたからね」 たまに嫌味を忘れないのも弟だった。