通常業務と謝恩会の準備に追われ、慌ただしく日々が過ぎていき…。
成瀬課長は連日会議で、顔を合わせることもなく…。

気づけば、あっという間に謝恩会当日…、そして私の仕事最終日。

私は去年と同じパンツスーツを着て受付のお手伝いをしていた。

「桜庭円香さまでいらっしゃいますか?」

ホテルのスタッフの人に声をかけられ、「はい」と答えると、半ば強制的にメイクルームに連行された。

どうしてこうなった?

ワケがわからず、頭の中には無数のハテナマークが浮かんでいる。

スタイリストらしき人にメイクをされて、髪型はハーフアップに、なぜかピンクのドレスを着せられた。

鏡に映っているのは…私!?

だって、数十分前まで私は去年と同じパンツスーツに、いつも通りのこけしスタイルだったのに。

唇に塗られたピンクのグロスが艶やかで、ラメが付いているピンクのドレスは、少し動くだけでキラキラ輝いている。

「あの…」

恐る恐る尋ねてみても誰も答えてくれず、「ステキです!」と褒めまくられて、とにかく恥ずかしいことこの上ない。