ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




凶悪犯罪を取り上げる司会者が笑ってしまうほどのエピソード。

思考が混乱する。凄惨な形で死体を遺棄する表の顔と、片やいたいけな少女を助ける裏の顔。

そもそもあの女を知らない僕には、どちらが裏で表かもわからない。

彩矢香は音声だけでこの事実を把握していたが、人を判断するには十分だったようだ。

「根は悪い人じゃないんだよ、きっと。話せばわかってくれるのかも……」

だが、そこには大きな過ちがある。赦されるべきは伊達磨理子なのだ。

「それよりさ、さっきファミレスの前通らなかった?」

「え?」

「えって……昼、食べるんでしょ?」

好きな女のため息ほど、男を焦らせるものはない。

「何言ってんの! ヤスの所に行くのよ!」

「……ぁ、そぅ」

すっかり忘れていた。僕らの前に、あいつが鬼だということを。

20分ほどで康文が通う大学に着き、初めて他人のキャンパスを歩いた。

「食堂にいるって」

彩矢香が連絡を取り、久しぶりにあいつの顔を見る。

なんて、ほんの数日だ。あまりにこの数十時間が濃すぎた。

「よう。大学生やってんな!」

「お前もだろ!」

「もう単位取ってるしー。優秀だから、ボクちん」

「はいはい」

男同士のノリに彩矢香は参戦せず、

「ヤス! わかってるの⁉ 今日だよ、今日の夜なんだよ……」

すでに涙ぐんでいた。

「もう誰も死ぬトコ見たくないの゛……」

周りの生徒の視線を一身に浴びている。

構図は、女を泣かせるサイテーな彼氏だ。

「ぉ、おいサヤ。こんなトコで勘弁してよ……」