不可解な点があった。
これまでは、胴体や頭部の損傷は少なかったはず。
だが、山口は違う。この点に何か意味があるのか……。
それから僕と彩矢香は、個別に話を訊かれた。
ふたりの交友関係や、恨んでいるような人物はいなかったか等々。
僕はただただ、彩矢香が余計なことを言っていないか心配だった。
開放されたのは正午過ぎ。今や、ニュースを見なければ落ち着かない身体になっている。
「どこ行くの?」
彩矢香は、行き先を訊かず告げずで走らせている。
「決まってるでしょ!」
時計を見て、合点がいく。空腹で気が立つなんて珍しい。
《『世間を騒がせている復讐の騎士団ですが、ここで我々独自に入手した映像を公開したいと思います。どうぞ』》
おや、面白そうだ。
《『これは空港内部の監視映像である。画面上部に映るこの女の子に注目してご覧いただきたい』》
「っ⁉」
目を疑った。そんな僕のために、何度もスローで再生される映像。
パニックとなり逃げまどう人々。
人が、人や物にぶつかりながら空港の外へ逃げる中、親元から離れてしまった小さな女の子が転倒する。
そのすぐ脇を、例の3人組と山口が通り過ぎようとした時、
「マジかよ……」
あの女が少女を抱き上げ、人がいない一角に運んで下ろす。
しかも、頭まで撫でて何かを話し、女の子は大きくうなづいた。
《『なんと、その女の子と電話が繋がっています。りほちゃーん、聞こえますかー』
『はーい』
『りほちゃんを助けてくれたお姉ちゃんになんて言われたのー?』
『えっと……びっくりさせてごめんねって』
『頭なでられてたね』
『うん。だいじょうぶーって』
『こわくなかったー?』
『ううん! すっごくやさしかった! ママが、あの人はわるい人だって言ってたから、さっきねおこったの』
『ハハハハッ、そっか。いろいろ教えてくれてありがとねー』
『はーい! バイバ~イ』》



