ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




『玄が、死んだ⁉』

たて続けに起きた聖矢の災難と玄の悲劇。

今の僕を上手に表現する言葉がないから、新しく作ろう。

それは、踏んだり願ったりかなったり、だ。

『真夜中に殺害されたらしい。キミらは何時まで一緒にいたんだ?』

僕は声が浮つかないよう、丁寧に説明する。

『夜の9時過ぎぐらいにキミは倒れて、起きたのは朝。証明するのは一緒に寝ていた彩矢香さんだね?』

『はい』

『……なるほど』

『もしかして、疑ってます?』

『そんなことはないよ! 形式的な質問だから。彼女に代わってくれる?』

僕の手を離れた携帯。彩矢香は背を向けて歩き、シャンデリアの下をグルグル回りながら話している。

それが犬のように見えて、不謹慎にも笑ってしまう僕。

通話を切るのを見て、とっさに歯で舌を噛んだ。

「なんか疑われてる感じしたよね?」

ニヤつきは収まって見えているだろうか。

「そう? 夜まで一緒にいたんだからしょうがないよ」

どうやら、大丈夫なようだ。

「あの人について署で詳しく話を訊けないかって。どうする? 行く? 遺体も安置されてるみたい」

「……行こう」

単純に見たかった。アイツの死に顔が。

彩矢香も似た感情を持っているはずだ。玄のことを“あの人”と呼んでいたから。

「出かけるの?」

母親は不安を丸出しにして娘に問う。

「私には聞こえないようにコソコソして、最近あなたたち様子がおかしいわよ」

大切な一人息子は自殺未遂をするし、最愛の夫は入院している。彩矢香に傍に居てほしいと思うのは、当たり前の心理だ。

「夜には絶対に帰ってくるから。ね、いいでしょ?」

「……えぇ。お願いね」