ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




——ドンドンッドンッドンッ!

「聖矢⁈ おい、どうした⁉」

マズい予感がする。

彩矢香と母親も声を掛けたが、一切反応がない。

「ちょ、離れて!」

——ダンッ!!

僕は扉を蹴った。何度も、何度も。

少しづつ鍵の部分が曲がり、渾身の一撃で、ドアが勢いよく開いた。

「せ、聖矢―!」

小さな体が床に横たわっていた。

右手でカッターナイフを持ち、左手首からは血が離れてゆく。

「…………」

最悪の展開。

母親はオドオドしながらタオルで止血をし、彩矢香が頬を叩く。

「しっかりして! 聖矢っ!」

血を見たことで気を失ってしまったのか。呼びかけに応じるまで数分かかった。

さほど出血量は多くなく、応急処置をして、あの医者に電話をかける。

「すみません。僕が追いつめたせいで……」

何もできず、部屋の隅で突っ立ったまま言う僕に、母親は携帯を手で押さえながら、

「お願い。下へ行ってて!」

と叱責した。

それからは覚えていない。

よく転げ落ちずに下まで行けたものだ。母親に声を掛けられた時、自分が椅子に座っていることにやっと気がついた。

「ごめんなさいね。さっきは大声を出して」

「……ぇ、あ! 聖矢は⁈」

「大丈夫。傷が浅かったから、命に別状はないわ。先生も来てくれたし」

「よかった……ホントに、よ゛かった」

「タツミくんならって、私も思っていたわ。だからあなただけの責任じゃない。でも……」

「でも?」

「あの子にはまた時間が必要みたい……」

暗黙の“面会謝絶”。

幸先の悪いスタートだ。