ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




さて、ひとつずつ頭痛のタネを取り除こう。

僕と彩矢香は寝室から出て、廊下の先にある聖矢の部屋に向かおうとした。

「お母様⁉」

階段の手すりにもたれかかる母親を、彼女が見つけて真っ先に駆け寄る。

すぐ脇には、お盆に乗った朝食が置かれていた。

「お母様!」

「……ァ」

身体を激しく揺らすと、やっと反応があった。

「部屋に入れてもらえなくてね。何も食べたくないし誰とも話したくないっ
て……ッ゛」

そう嘆き、彩矢香にしがみついて泣く。

「あの子、良くなり゛かけてたのに゛……」

「お母様……」

「…………」

真夜中、家の中を歩く足音を聞いたらしい。

聖矢だと思い、1階の寝室から出て声を掛けようとしたが、逃げられるのが恐くて踏みとどまった。

「もう息子の顔を゛見れないのかしら、わ゛たし……」

母親は僕を必要としていた。その思いに応えるのは今しかないと、聖矢の部屋のドアを叩く。

——コンッ、コンッ。

「たっちゃん⁉」

「タツミくん⁈」

「シー! 僕に任せて」

ふたりとも止めなかった。やはり、期待しているんだ。

「聖矢、聞こえる? 僕だよ」

——……。

「出てきてくれないか? みんな心配してる」

——……。

今回ばかりは、一筋縄じゃいかなそう。

「もう何も話さなくていい。怖がらなく…」

——ドンッ!

扉が一瞬だけ揺れた。硬いなにかを投げつけたようだ。

「う゛る゛さーーーい゛ぃ!! 来る゛なっ゛!」

「……僕に話した自分のことを責めてるのか? なぁ、聖矢」

「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れっ! アあ゛嗚呼アァ゛あ゛ああ゛ーーーー……ッう゛ぅ」

さも狂ったようなうめき声が、痛みで悶絶しているような
ディテールに。