ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




雲の上で寝そべっているような心地よさだった。

意識が醒め、瞼を上げる。目の前には、真っ白くて大きな雲が広がっていた。

そう。雲に挟まれるなど、違和感以外のなにものでもない。

胸の辺りに重みがあって目をやると、

「彩矢香……」

彼女が眠っていた。

首だけで辺りを見回す。

僕の部屋とは比べ物にならない広さで、彩矢香の部屋とはまったく違う内装。

カーテンの裾からは、まばゆい光が漏れていた。

「彩矢香? さ…」
「ンンーー……ッハ!」

まるで幽霊でも見たように、僕の顔を見る。

「たっちゃん! よかった……」

「ここは?」

「お父様の寝室」

「え⁉」

「記憶ないの? 昨日、外で倒れて……過労による貧血だろうって、先生が」

僕を運んでくれたのは、そのお父様らしい。

結婚前の娘の部屋には入れられないから、と。

「で、お父さんは⁈」

まさか天下の大社長を、僕がソファーに寝かせたのか。

「たっちゃんを抱えるのに無理したみたいで、病院に……」

なんたる結果。ソファーよりもヒドい。

「マジ……」

「最近体調悪いみたいだし、弟のこともあったから。気にしないで! 念のための検査入院だから」

「……そぅ」

「ちょっとだけ寝るつもりだったのに、朝になっちゃった」

——ジジジジジジジジジジッ。

「っ……」

部屋全体が明るくなり、ふたりして眉間にシワを寄せる。

太陽のせいか。それとも、気がなっていることがありすぎるからか、耳の後ろに痛みが走った。