「先生が鎮静剤を打ってくれたから。今は落ち着いて、上で寝てるわ」
「何があったの⁈」
両親は顔を見合わせ、父親が無言でうなづく。
「これがあの子の部屋に置かれてたの……」
B5サイズ程の小さな紙に、大きな驚愕が詰まっていた。
【約束ヲ忘レタノカイ?マタアノ部屋ニ閉ジコメテヤルゾ。今度ハ死ヌマデナ。キミノコトヲズー―――――ット見テイルヨ】
「「…………」」
「起きてすぐにこれを見たのね。上で叫び声とすごい物音がして……壁に何度も頭を打ちつけたり、もう大変だったわ」
めまいに合わせ、父親が身体を支える。
しかし、母親よりも顔色が悪い。
「もしかして、僕に話したから?」
「そうみたいだな。探したら、これがあったよ」
父親は、置時計の前に置かれた3口の電源タップを手に取り、僕に差しだした。
ネジが外され、中が少し見えている。隙間に爪を入れ、開けてみると。
「盗聴器⁉」
「あぁ。取り付けたのはおそらく、身代金を届けた時だろう。犯人はふたりで来ることを要求した。家に誰もいないのは、あれ以降一度も無いからな」
「でも、じゃ、いつこの紙を?」
彩矢香の言う通りだ。
僕が聖矢の寝顔を見た時にはなかったし……。
「ま゛、まさか!」
靴も履かずに玄関を飛びだし、彩矢香の車を覗く。
「いない……」
あの男から目を離している時間があった。
「無い……」
玄の車が消えている。
「アイツか⁉ アイツが……」
聖矢を誘拐した犯人なのか。
玄はこうなることを知っていて、尻尾を巻いて逃げたのか。
携帯にかけても、電源が切られていて繋がらない。
「げ…」
かく言う僕も、電池切れだ。



