ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




「先生が鎮静剤を打ってくれたから。今は落ち着いて、上で寝てるわ」

「何があったの⁈」

両親は顔を見合わせ、父親が無言でうなづく。

「これがあの子の部屋に置かれてたの……」

B5サイズ程の小さな紙に、大きな驚愕が詰まっていた。


【約束ヲ忘レタノカイ?マタアノ部屋ニ閉ジコメテヤルゾ。今度ハ死ヌマデナ。キミノコトヲズー―――――ット見テイルヨ】


「「…………」」

「起きてすぐにこれを見たのね。上で叫び声とすごい物音がして……壁に何度も頭を打ちつけたり、もう大変だったわ」

めまいに合わせ、父親が身体を支える。

しかし、母親よりも顔色が悪い。

「もしかして、僕に話したから?」

「そうみたいだな。探したら、これがあったよ」

父親は、置時計の前に置かれた3口の電源タップを手に取り、僕に差しだした。

ネジが外され、中が少し見えている。隙間に爪を入れ、開けてみると。

「盗聴器⁉」

「あぁ。取り付けたのはおそらく、身代金を届けた時だろう。犯人はふたりで来ることを要求した。家に誰もいないのは、あれ以降一度も無いからな」

「でも、じゃ、いつこの紙を?」

彩矢香の言う通りだ。

僕が聖矢の寝顔を見た時にはなかったし……。

「ま゛、まさか!」

靴も履かずに玄関を飛びだし、彩矢香の車を覗く。

「いない……」

あの男から目を離している時間があった。

「無い……」

玄の車が消えている。

「アイツか⁉ アイツが……」

聖矢を誘拐した犯人なのか。

玄はこうなることを知っていて、尻尾を巻いて逃げたのか。

携帯にかけても、電源が切られていて繋がらない。

「げ…」

かく言う僕も、電池切れだ。