ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




「フンッ、これでわかったやろ。ほな、さいなら~」

人をムカつかせる多彩な手のひらだ。

僕はすっかり意気消沈し、車に背を向けて歩きだす。

頭を渦巻くのは、玄を殺すための方法。

それに、信じていた。きっと彩矢香が迎えに来ると。

「たっちゃん!!」

希望の声が聴こえ、とっさに振り向く。

「彩矢香……」

そう、そう、そう。僕らには、誰にも裂けない絆がある。

「一緒に来て! お願い……」

そんなに瞳を潤ませなくてもわかっているさ。

「聖矢が大変なの!!」

「……へ⁉」

携帯を渡された。運転席のドアのポケットに忘れてしまったらしい。

「この留守電聞いて!」

僕は戸惑いながら、耳にあてる。

《『どこにいるの⁉ すぐ帰ってきて! 聖矢が危険なの。タツミ君を連れて今すぐ!』》

「行こう!」

僕の手を引く彩矢香。助手席の玄は不機嫌そうな顔で言う。

「ご指名ならしゃーないわ」

アスファルトが乾いているから、今度は止めなかった。

聖矢の身に何が起こったのか。

一応、弟みたいなやつだから心配だ。

約40分。

門扉が開く時間が倍遅く感じる苛立ち。

「あの車、先生の……」

「先生?」

「聖矢のこと診てくれてるかかりつけの」

玄関の前に停まっているその車の後ろに止め、エンジンも切らぬままで飛びだす姉。

「お母様! 聖矢は⁉」

大きなテーブルの椅子には父親と母親、背もたれに白衣を掛けた初見の男も。

「遅かったじゃない……」

3人は、重苦しい雰囲気でお茶を飲んでいた。