脅されていると暴露すれば、玄はふたりから正式な聴取を受けるだろう。
だがそれだと、被害者の彩矢香も脅された理由を訊かれることになる。
ただでさえボロボロの彼女に、またも過去の汚点を思い出させるのは酷だ。
僕の答えひとつで、それを回避できるなら。
「はい……」
今は、グッとこらえるしかない。
「なーんだ。空振りか……」
ふたりの興味が薄れた拍子に、僕の肩をポンポンッと叩く玄。
その憎たらしい顔を、必ず歪ませてやる。
僕はそう心に誓った。
「「ご苦労様です!」」
一瞬にして、捜査員たちに緊張が走る。
「「警視正!」」
「宇治木さん……」
彼の登場によって。
「犯人たちの行方は?」
「は! 現在も空署の捜査員が捜索中ですが、未だ見つかっておりません!」
「空港外は少数で構わん。中の捜索に割け。一刻も早く解決するんだ!」
「「「はい!!」」」
一気に人が減って視界が開き、僕は宇治木と目が合う。
彼は驚いた様子で、こちらに歩み寄ってきた。
あんなのを見せられたら、自然に背筋がピンと張る。
「なぜキミがここに?」
「友達を見送りにきたら、銃を持った3人組が現れて……その友達は連れ去られました」
「まさか、覆面の⁈」
「いいえ。今回は全員が素顔を曝してました。残念ながら、大橋さんじゃなかったです」
「そうか……」
「宇治木さん、現場にはあまり出なくなったって言ってたのに、今日はどうして?」
すると彼は、ジャケットの内ポケットから1枚の紙を取りだし、
「どうせ拡散されるから、これを見せても捜査漏洩にはならない」
と、僕に手渡す。



