ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




「言うことを聞いてくれたら、私たちは絶対にアナタを殺さないわ」

公衆の面前だからか、男どもは覆面をしていない。

初めて見たその素顔は、とても殺人に手を染めるとは思えないほどに普通だった。

そして、沙奈の家で見た写真の男と似ても似つかない。

「わわわかった! 撃たないでくれ」

銃を見てすっかり怯えきった山口とは対照的に、無神経な正義を振りかざすバカ。

「お前ら誰やねん!」

玄の位置からは銃が見えなかったのか、女に近づいたその瞬間。

——カチ。

その眉間へ、銃口が突きつけられた。

さすがにこれは、フードコートにいる他の客たちの目を引く。

だが、誰も逃げようとしない。

何故ならば、日本は平和ボケした国だから。

「っっ゛⁈ ど、どうせニセモンやろ」

「どうかしら? 答えがわかるときは、あなたが死ぬ時よ。試してみる?」

「くっ……」

——ザワザワ
《「ぇなに、撮影?」
「カメラどこ」「あれ、本物じゃないよね?」》
       ザワザワ——

「玄一郎太……変わった名前よね。あなたは関係ないはずよ。引っこんでて」

僕は願った。繰り返し、何度も何度も。

「撃て、撃て、撃て! 撃て! 撃て、撃て! 撃て!」

「……たっ、ちゃん?」

しまった。無意識につぶやいていたようだ。

つい口に出てしまうぐらいの願いも、あえなく散る。

両手を上げ、静かに一歩。また、一歩。後ろへ下がる玄。

「これでええんか?」

「どうもありがとう」

緊迫感がほんのり緩和したその時、まるで僕の舌打ちが合図だったかのように、

「銃を捨てろっ!!」

周囲に響く怒号。