ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




まず山口が声をかけたのは彩矢香だった。

「サヤ! マジで恩に着るよ!」

「ううん、いいの。友達でしょ?」

そう言って、スッと鍵を差しだす。

「あと、これが住所。で、これが住宅街に入るためのIDね」

「IDが要るの⁉」

「そう。ハリウッドの俳優さんとか多いから」

「ヤベッ! マジすっげぇ! 金髪セレブとヤれるかな……」

興奮しながら低能で稚拙な言葉を並べる山口。

彼が助かれば、僕と彩矢香も助かるのか。

それとも、彼を飛び越えて順番が回ってくるのか。

もしもそうだとしたら、怨念の程度を疑ってしまう。

「あっちにどれくらいおるん?」

「大貫が捕まるまで。かなー」

「まだそんなこと言ってんのかよ!」

「……こわっ」

真相を追い求めた僕と彩矢香。ただ逃げるだけのこいつ。

僕らは傷ついているのに、山口は浮かれている。

その不公平さに声を荒らげた。

「僕も彩矢香もこの目で見てきた。大貫の弔われた姿を。あいつは死んでるんだよ!」

僕の言葉が胸を突いたのか、表情が曇った。

しかし、刺さったわけではないようだ。

「ぉ俺、そろそろだし行くわ!」

キャリーバックの柄を握り、小さなキャスターが回りだす。

「え⁉」

だが、すぐに止まった。止められた。

僕は彩矢香を庇うため、とっさに彼女の前に出る。

「なんや? 知り合いか?」

玄と山口は知る由もない。

「何? 誰?」

この3人組のことなど。

「指示に従ってもらうわよ」

男たちはそれとなく山口を羽交い絞めにし、女が他の客から死角の位置で銃を突きつける。