ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




「じゃれてただけや!」

なぜか玄は、何事もなかったように、僕を引っ張りあげる。

服についた芝生を払いのける気遣いまで。

「そやんな?」

彼女の前で恥をかきたくない僕と、その思いを汲む玄。

完膚なきままでの敗北だった。

「あぁ。なんでもないよ」

「……ほな、行こか!」

またも笑って見せ、玄は車に向かう。

このとき決めた。

彩矢香のいない時に必ず決着をつける。

そして、どんな手を使ってでも、彼女を取り戻す。

と……。

「行くって、どこに?」

久しぶりに違う装いの彩矢香に尋ねると、

「羽田。グッさんの見送り」

沈んだ表情のままで、そう言った。

玄は、すでに僕の特等席を陣取っている。

今は我慢だと、奥歯をギリつかせながら後部座席に乗りこんだ。

——……。

当然、会話が盛り上がるわけがない。

「最近の羽田はえらいことになってるんやろ? 楽しみやなー」

よくもこの雰囲気でそんなことが言える。

僕の奥歯と同じように、どこかで全身の神経を抜かれたのか。

こんなヤツが警察官になるなんて世も末。人類という党からすぐにでも排除すべきだ。

心に秘めた恨みつらみの約1時間。

一切の会話なく、僕らは空港に着いた。

フードコートのあるフロアに山口がいて、僕たち3人を見るなり大きく手を振る。

むろん、笑って振り返すのは玄だけ。

「おった、おった! グッさーん!」