ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




めった刺しにした。玄を。

それでも足りず、馬乗りになって殴った。

「着替えるやろ? 外で待っとくわ」

頭の中で。

無理矢理なら、本当にやっていたかもしれない。

でも、そうじゃなかった。合意の下でキスをしたのだ。

すれ違いざまにほくそ笑んだ玄が、部屋の外に出ていく。

僕は彩矢香の傍に寄ることができず、冷静を装って問いかける。

「今の、ホント?」

「…………」

「アイツと婚約したのか⁉」

「…………」

ダメだ。冷静でいられるわけがない。

「答えろよ!!」

ムリだった。愛する人に寄り添いたい。

「なぁ……僕の気持ち知ってるだろ? なのに、なんで……」

彩矢香の両腕を掴み、切実な思いをぶつけた。

すると彼女は、とんでもない真相を明かす。

「大貫さんがいじめられるようになった原因はね、実は私だったの」

「え⁉」

康文と大貫が幼なじみだと知った玄。

そのことを話したのは、当時の彩矢香にだけ。

軽い気持ちで皆に言いふらしてしまったことで、いじめの始まりを招いた。

その事実を武器に、アイツはこう言って脅したらしい。

「天下の宝泉グループの娘が、いじめの片棒を担いでいたなんて知ったら、マスコミが騒ぐはず。それとも今じゃなくて、父親の選挙活動中がいいか?って……」

「そんなの強引すぎるだろ!」

「でも、大貫さんが自殺してるから、食いつかないわけがないって」

「…………」

それはたしかに一理ある。

自殺やいじめや富豪と権力を目の敵にしているマスコミにとって、こういうネタは大好物。

事実を多少ねじ曲げてでも、世論を味方につけようとするだろう。