ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




やはり、玄と彩矢香が二人っきりなのは気が気でない。

たしかに僕の所有物ではないけれど、思い合っている自信がある。

だから、邪魔をする権利はあるはずだ。

——ガチャ。

「やっぱ…」

——……。

一瞬、心臓が止まる。あまりの衝撃に。

ふたりは抱き合っていた。

それも、玄の背中に彩矢香の手がしっかり回っている。

「勝手に入ってくんなや! ええトコやのに」

僕に気付き、ふたりは離れた。よく見ると、彩矢香が泣いている。

その涙は、愛しさゆえか、悲しさ故か……。

「グスッ、たっちゃん……ごめん」

謝られると余計に辛い、裏切りの抱擁。

「ど、どういうこと?」

僕の素朴な疑問に、玄はさらなる衝撃で返す。

「オレら今、婚約した」

「は⁈」

ありえない展開に、僕は頬を緩ませる。

ドッキリの看板を持った誰かの登場を、いまか今かと待った。

しかし。

「そやんな? サヤ」

「…………」

彼女は肯定しない。でも、否定もしない。

「なんなら、ここで誓いのキスでもしたろか?」

できるわけがない。騙すにしたって、やりすぎだから。

「な゛⁉」

僕の中で、何かが崩れ去る音がした。

ふたりのキスを目の当たりにしたことで。

「彩矢香……」

顔を背けず、玄の口唇をすんなり受け入れている。

ご丁寧に、瞼まで閉じて。

「これで証明になったやろ。今からサヤは、オレの所有物や」