ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




「コーヒーにする? それとも紅茶がいい?」

部屋に入るとすぐ、彩矢香はウォークインクローゼットにコートをしまいながら言った。

「コーヒーがいいかな」

「わかった」

女の子の部屋で独りになると、妙にソワソワするのは僕だけだろうか。

フリル付きのベッドカバーや、フカフカのクッション。

それらの柔らかい感触を肥やしに、頭の中で妄想を膨らませる。

こういう行為が僕だけだとしたら、自らを変態と認めよう。

「シロップ持ってくるの忘れちゃった! 取ってくるね」

「いや、大丈夫だよ! ブラックで」

「そう?」

なんてことない会話でも、まるで同棲でもしているような幸福感。そして、優越感。

「そういえば、ゲン太って彩矢香の家知ってたっけ?」

今、この家に向かっている玄。

まだ僕の中で完全に疑いは晴れず、こんなことでも気にかかる。

「憶えてないの? 中3の時、ここで誕生パーティーしたじゃない! みんなでまだ小さい弟と庭で遊んだでしょ? あれは楽しかったな~」

「……あぁ!」

すっかり忘れていた。そういえばあのとき、玄もいた。

「学校でも何日間か言ってたよな!」

「うん。それぐらい楽しかったんだもん。ぁ写真あるよ、見る?」

「いいねー!」

思い出話に花が咲き、そろそろ散ろうかという頃、門扉の呼び鈴を鳴らす何者か。

「来た!」

彩矢香は部屋を飛び出し、

「私が出るから大丈夫!」

と、下に叫んだ。