ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




どうにか座る場所を確保し、久しぶりに正座をした。

彩矢香は居ても立ってもいられないような表情を浮かべながら、部屋の隅から隅を見渡している。

僕が、茶渋の浮いた湯飲みのお茶に手をつけるべきか悩んでいると、母親は濁りのない告白をした。

「あの娘が死んだのは私のせいなのよ」

「ぇ……」

それは、大貫が高校2年だったときの冬。

「言ってしまったの。あんたなんか産むんじゃなかったって」

「…………」

ここに入った瞬間から、彼女を軽蔑しているのだろう。彩矢香は眉一つ動かさない。

だから、僕が相手をするしかなかった。

「どうしてそんなことを言ったんですか?」

「母親を放棄して、女になりたかった……バカよ、馬鹿なの! 後悔してもしきれない」

「そのあとすぐに、サチエさんは自殺を?」

「いいえ。娘は高校を辞めて、独りで東京に出たわ。死に場所を探しに」

ここまでは堪えていたが、とうとう大粒の涙を流す哀しき母親。

「死に場所?」

「……娘がどうやって死んだか御存知では?」

「いいえ。自殺としか聞いていません」

「そぅ……」

スッと立ち上がり、写真立てのひとつを抱きかかえるようにして戻ってきた。

そして、写真の中の娘を懐かしむように、

「サチは私に似ず、頭が良かったから……」

と、自殺の詳細を語る。

驚愕だった。いや、大貫ならあり得る。

開桜中学校創設史上、最高の頭脳と云われた彼女になら……。