ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




静岡県焼津市。三大漁港の一つ、焼津港がある町。

車を降りた僕らは、まず辺りを散策した。

絶対に玄がいる。近くで僕たちを見張っていると確信があったからだ。

「もう行こう。やっぱり見間違いだったんだよ」

「……そうなのかな」

歩いているときから少しめまいがしていた。

ここ数日色んなことがありすぎたし、十分に睡眠も取れていない。

蓄積された疲労が、玄に似ている人物を誤認したのか。

「ここだ……」

彩矢香はメモした紙を見ながらつぶやく。

対象の建物は、老朽化によって鉄が錆び、防犯設備など何一つない2階建てのアパート。

手すりには触れないように階段を上がり、ほぼ真ん中に位置する一室のチャイムを押した。

ほどなくして鍵が開き、古びた扉がギィっと音を立ててこちらに迫る。

「ぁ……」

先手を打ろうとした僕は、中から出てきた女性の風貌に、思わず絶句した。

長く手入れを施していないであろう髪、爪。
乾燥とシミの際立つ肌。
涙袋が垂れ下がり、白目が黄ばんだ瞳からはまったく覇気を感じ取れない。

まるで、立っている抜け殻だった。

同じ性別に属する彩矢香でも、その見た目の凄惨さに言葉を失っている。

「どちらさん?」

「僕らはその、サチエさんの中学の友人で、よろしければ線香を……」

「お友達? あの娘にもいたのね」

あのコ。この人が大貫の母親か。