若干の孤独はすぐに解消した。
前方から、彩矢香が胸を揺らして走ってくる。
——バタンッ!
「ハァ……ハァ……」
「どうだった⁉」
すぐにドライブへシフトし、急発進。
「なぁ⁈」
「成功! ン゛ッ、大成功!!」
その言葉を聞き、しばらく彼女の息が整うのをハラハラして待つ。
と!
「ッ⁉ なんで⁈」
見えた。僕には見えた。
運転席の窓の向こう。一瞬で通り過ぎた景色の中に、アイツがいた。
「ゲン太だ!」
「え?」
「ゲン太がいた!!」
「ウソ……いるわけないじゃん! ここ、静岡だよ」
そう。静岡だろうが東京だろうが、姿を見るなんて偶然の域を超えている。
でも、たしかに玄だった。
「戻って!」
「イヤだ! 早くここから遠くに行きたい!」
彩矢香は不法侵入という罪を犯したばかり。
当然の心理だとその気持ちを汲み、僕はやむなく諦める。
「そういうことか!」
もし見間違いではないのなら、1つの説が成り立つ。
彩矢香の車に携帯を仕込んだのは玄。
斎藤に渡した後も尾行し、僕らが純清学園の近くにいることも知っていた。
しかし、彩矢香の行動に疑問を感じ、僕に電話をかけてきた。というわけ。
偶然なんかじゃない。電話も、静岡にいることも。



