電話を切った後、しばし康文の心情を推察した。
あいつは大貫と幼なじみで、いじめに加担したといっても、たったの一度だけ。
心のどこかにあるはず。
「余裕……」
自分はきっと殺されないという余裕が。
それが今の、悟りを開いた修行僧のような態度を形成している。
僕はそう結論づけた。
ちょうどそのとき偶然、玄からの着信。
ふと、昨夜の3人組が頭をよぎる。
『よう! ミサコはどうなってん』
覆面を被った男の一人は、彼と同じく関西弁だった。
『死んだよ』
『なんでや⁉ 終わらせられる言うてたやん!』
でも、改めて聞くとなお分かる。玄の声とはまったく違った。
『うん。そのはずだったけど、失敗した。呪いはまだ続いてる』
言えない。それが僕のせいだなんて……。
『で、今何してんねん』
切り替えの早い玄。話題を戻さないように、現状を事細かに話す。
『サヤは入れたんか?』
『そういえば戻ってこないし、上手くいったのかも』
『……そか。ほなな』
——プツッ、プー、プー、プー。
「ぇ」
電波を介していても、こんなにひとり取り残された気分になるのか。
急にケンカを売ってきたり、かと思えばケロっとし、今みたいに関心の移り変わりが荒い。
こいつとは、生まれ変わっても親友になれないだろう。



