ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】




無謀なのは百も承知。

でも、これしか方法が無い。

彩矢香もそれを理解しているのか、ほどなくして腹を決めた。

「わかった。行く!」

ブーツに履き替え、バックを持ち、晴れ間が覗く空の下に降り立つ。

その表情と遠ざかる背中は凛々しくて、とても頼もしかった。

手持ち無沙汰になった僕は、山口に電話をかける。

美佐子が死んだことを知らせ、呪いはまだ終わっていないと告げたが、

『その時間は空の上だ!』

なんて、危機感がまるで皆無。

訊けば昨日、宝泉グループが所有するハリウッドの別荘を貸してあげる、と彩矢香から連絡が来たらしい。

そういえばたしかに、山口との電話の後、彼女は父親に電話をかけていた。

『だから大丈夫! タツミ、こんな言葉知ってる? 呪いは国境を越えない。ってね』

「…………」

もうセレブ気分で、腹が立つほど浮かれている。

こんなヤツ、心配するだけ損だ。

次は、ここのところ影が薄い康文。

山口とは打って変わり、こいつは腹が立つほど冷静だった。

『そっか……ミサコも』

僕は尋ねる。怖くないのか、と。

『怖いよ。だけど、大貫が俺らを殺したいほど恨んでるなら、仕方ないと思ってる。だから、死ぬことに怯えて生きるより、当たり前の1日を大事にしたいだけ』

「…………」

最近、アブない宗教にでも入信したのか。

もう少し話を聞けば、“神”というフレーズにめぐり会えそうだ。