すると、彩矢香はひらめき、顔を上げた。
「なるほど! 住所録!」
学校主催の同窓会は、各生徒の家に招待状を送る。
「そうか!」
すなわち、純清学園に潜入できれば、住所を知ることができる。
斎藤なりに考えて、浜田と組織を裏切らないヒントを、僕たちにくれたのだ。
「でも、どうやって……」
彩矢香の言う通り、あくまでヒント。
「とりあえず、行こう!」
「うん!」
こうして、迷える僕たちにわずかな光の道筋が立った。
もちろん懸念はあり、すぐに大きな壁と化す。
「やっぱり……」
純清学園の校門には規制線が張られ、両脇には制服を着た警官の姿。
どうやら今日は休校らしく、窓を閉めていても、静かな様相を感じ取れた。
見えない場所に車を停め、ふたりだけの作戦会議。
「入るなんて無理だよね?」
「……あぁ」
お手上げだ。一般人の僕たちにはこれが限界。
僕は、彩矢香に告げようとした。
東京へ戻ろう、と。
でも、彼女の顔を見ていると、なんだかイケそうな気がしてくる。
「純清は女子高だから……」
「だから?」
「彩矢香ってさ、どちらかと言えば童顔だよね?」
僕は、グッと彼女の目を見た。
「え? ま、まさか……」
そのまさかだ。純清学園の生徒のフリをして潜入するという計画。
「忘れ物をしたとかなんとか言って、警官に入れてもらうんだよ! な? このまま帰るよりは、やってみてもいいだろ?」
「…………」



