ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】




「あ゛―――あ!」

――パリィーーーンッ。

強く打ちつけ、飛び散る破片。

その瞬間。

「ッハ!」

俺も、

「く……」

祐一郎も、


《プツッぜひ、劇場に足を運んでください。以上、さくらのぞみでした。バイバーイ》


血を凍らせるような張りつめた空気も、エアコンの送風がかき消す。

「ぁ、あの女がい……いない!」

喜び勇む、ピンちゃんの声。

「……敬太、これって?」

続いた祐一郎の問いに、俺の口から安堵のため息と調和する言葉がついて出る。

「終わった……」

「ボ、ボク、助かったの!?」

「ピンちゃん……そうだよ、助かったんだ!」

午前3時6分。

こんなに早く、命を脅かす危機感と決別するのは初めてだった。

しかし、余韻にすら浸れない。

俺の中で、強い期待が生まれていた。

「ごめん! 先に帰る!」

「ぇ、敬太? どうしたんだよ!」

祐一郎の制止も無視し、俺は部屋を飛びだした。

……沙奈。

可能性は大いにある。

――キイィーッ!

タクシーを身体で止め、乗りこむ前に行き先を告げた。