ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】




《オススメアーティストを紹介するこのコーナー、本日のゲストはプツッ――》

「な゛、なんだ!? 消えたぞ」

……来る。

おそらくモニターの電源が落ちたのだろう。

動じるわけがない。この程度で。

次の瞬間。

――キイィーーーーーンッ。

あの耳鳴りとよく似たハウリングが、スピーカーを通して耳をつんざく。

「ひぃ゛やぁあ゛あー」

冷静に考えても、怖くて当然。

だって、ON、OFFどころか、俺らはマイクにすら触っていないのだから。

同時に、身体にのしかかるような重い空気のスイッチが入った。

「ぁあぁあぁあぁぁ」

今にも飛んで逃げだしそうな彼。

ここを耐え抜かなければ、待っているのは“死”。

「耐えろッ!!」

俺の一喝で、ピンちゃんは膝に爪を立てる。

「ぅ゛ぅ゛……」


ズッ──

  ザザザザザザッッ――


過去のトラウマが、今また現れた。

「どこだ!?」

俺と祐一郎は天井を見あげる。音がした先を。


ザザザザザザッッ――
       ザザザザッ――
          ズザザザザザザッッ――


“ソレ”は、俺たちがいる真上から、遠ざかるように這っていた。

「いなくなれいなくなれいなくなれいなくなれ……」

鼓膜を指で塞ぎ、身体を丸めて震える彼。

――ガッ! ガンッ! ガガンッ!

「「な゛!?」」

突然、換気口の格子を激しく叩く音。

ほんの30センチ四方の四角い穴に、途方もない恐怖を感じた。

――ガンッ! カララッン。

すぐにそれは外れ、やわらかいソファの上を弾み、床に落ちる。

ポッカリ開いた闇の入口。

「「…………」」

呆然必至。

が、磨理子さんは姿を現さない。

俺と祐一郎、ふたりの前には……。