ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】




「こ、これだ! もう……鏡は見たくない?」

「そういうこと!」

「なるほど……」

歓喜したように椅子から立ち上がり、窓の外に向かって拳を握りしめる祐一郎。

「ぁ! で、どうするの?!」

「うん……」

ここからは正直、勘だった。

「沙奈がこの病室に入ったとき、まっさきに鏡を割ったんだよ。それで落ち着きを取り戻した。だから……姿が映ったら、鏡を割るんだ。それできっと、磨理子さんは消滅する」

「ん?」

やはり、彼はこの語句に反応を示す。

「きっと?」

「……ごめん。あくまで俺の推論。一度も試したことはないいんだ」

ならばと、祐一郎はある提案を持ちかけてきた。

「今夜、一緒に来てくれないか? 僕だけじゃ心細いし、最後の“鬼”である彼にとって、キミの存在は心強い」

「…………」

俺は、沙奈の髪を撫でる。

……これが、俺のやるべきことだよね?

「ノアイダニシシヲウシナッタジャアクナレイガ……」

「…………」

祐一郎に言われる前から、俺の心は決まっていたようなもの。

最愛の人は救えなくても、目の前で困っている人を助けることはできる。

「わかった。 行こう!」

こうして、俺たちは病院を出た。