ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】




――コンッ、コンッ。

入院3日目の火曜日、沙奈の病室にやって来た人物。

「敬太くん……」

宇治木刑事だ。

「ぁ」

顔を見て、思い出したように声をあげると、宇治木は俺の肩を叩いてなだめる。

「いいんだよ。こんなことになってたなんて……キミも大変だったね」

「すみません。沙奈のことで頭がいっぱいで、連絡できませんでした」

「うん。言ってくれたら、僕も血眼になって沙奈ちゃんを捜したのに……」

「…………」

それからしばらくは沈黙が続いた。

お互いに、沙奈を見つめたまま。

「呪いは終わってなかったんです……。そうだ。僕、わかったんです。終わらせる方法」

「ホントに!?」

話す言葉の区切りに、宇治木は必ず相槌を打つ。その表情は真剣そのもの。

が、話し終えたあとで、複雑な表情を浮かべた。

「鏡か……僕のいる世界じゃ、誰も相手にしてくれないだろうな」

「…………」

彼が言いたいことはよくわかる。

なにを隠そう自分自身も、少し前はそちら側の人間だった。

すると宇治木は、俺の腕を強く掴む。

「敬太くん! キミが見つけた答えだ。キミの力で、呪いのゲームの参加者を救うんだよ! 警察の人間として表立った協力はできないだろうけど、ひとりの人間として最大限のフォローはするから!」

「た、たとえば?」

今の世の中、日本のみならず全世界へ、簡単に自分の存在を知らせることができる。

文章だけじゃなく、動画配信という形でも。

ネットから増殖した呪われし禁断のゲームを終わらせるのも、またネットによる拡散だ。

「目には目を、歯に歯を……ですか?」

「そう!」

「…………」

……それでたくさんの人を救えるなら。

「わかりました。やりましょう!」

「よしっ!」

宇治木は太ももを叩いて椅子から立ちあがった。