「死ネぇ!!」

今の今まで、どうして気付けなかったのか。

さらなる殺意で首を絞めつけられた。

「沙ア゛……、奈」

苦悶の境地に達し、意識が遠のきはじめる。

目を閉じると、黒いキャンバスに白いペンキがぶちまけられた。

おそらく、脳細胞の死。

覚悟するしかなかった。

……せめて。

もう一度触れたい。愛する人に。

俺は最期の力を振りしぼり、鬼の形相をした沙奈の頬に手を添えた。

すると。

……泣いてる?

指から腕に伝う熱い涙。

どうやら、呪縛は沙奈のすべてを喰い尽くせなかったようだ。

強い眼差しで沙奈を見る。

「ご……、ご、めん゛」

恨むべきは自分自身。

結局、俺は誰も守れなかった。

守ると誓った沙奈との約束さえも。

「ガハッ―ガ……ッ……」

……さ、沙奈……。

別れを言う気力もなく、俺の意識は意識がブラックアウトしていった。