「ッ!?」

ゆっくりと刻まれた10秒。

二度と聞きたくなかった呪文の言葉。

次の瞬間!!

「ガッ―ガハッ! 沙゛……、沙゛奈゛!」

突然、とてつもない力で首を絞めつけられた。

男の俺でも引き剥がせないほどの。

「ガッ―グハ―」


「やハり、あナタたちニは“イッポ”で十分ネ」


……こ、この声は!?

聴き慣れた沙奈の声と、忘れかけていた女の声が入り混じる。


「正解ハ歩数よ、ホ・ス・ウ」


……歩数!?

「ヤ、ヤ゛メロ……ざ、沙ナあ゛!」


「フフフフッ―

       ハハハッハハハッ―」


高々と嗤い、急激に熱くなった俺の耳に唇が触れる。

「どンナ気分? 愛すル人に苦しメラレルのは」

ささやかれるだけで、心臓が凍りつきそうな恐怖。

目の前にある沙奈の肩から……ゆっくり、静かに姿を現す……顔。

「っ!!」

闇の奥深くへと引きずりこむかのような戦慄の瞳。

そう、彼女の名は伊達磨理子。