「祐一郎!」
「ピンちゃん」
日付が変わる前、亀有の駅前で落ち合った。
あんな電話のあとだ、僕には今夜の“鬼”に立ち向かう勇気はない。
ピンちゃんにいてもらわないと困る。
「ピンちゃん、杉山さんを呼び出してくれ。頼むよ」
「……いいけど、さ。ケンカでもしたの?」
「うう~ん、まぁそんなトコ」
携帯で話しはじめた彼は、僕の顔色をうかがいながら指示をあおる。
『そうそう、亀有の__公園です。家から近いんですよね? ……はい、待ってます』
約1時間後、着の身着のままの格好で現れた杉山さん。
公園のベンチから立ちあがって存在を報せると、第一声でこう言った。
「なんだ、お前もいるのかよ」
吐き捨てるようなセリフとともに、唾を吐く。
険悪な雰囲気を一瞬で察し、気弱なピンちゃんはオドオドしていた。
「ね、ねぇ。ふたり、なにがあったの?」
「こんなヤツ、信用しない方がいいぜ」
「……どうして?」
「オレらを呪いから助けてやるーなんて調子いいこと言って呼び出しておきながら、結局、来なかった。楽しんでんだよ、オレらが死んでくのを!」
「そんな……ちがうよね?」
「…………」
僕は返事に窮したフリをして、ふたりをたったひと言で黙らせる言葉を探していた。
「ほら見ろ! 図星なんだよ」
「祐一郎!?」
あきれたような杉山さんの声と、今にも泣きそうなピンちゃん。
ここで正義の味方を気取れば気取るほど、彼らは猜疑心を抱くだろう。
ならば、徹底的にイヤなヤツになってやる。
「行くぞ。時間のムダだ」
ピンちゃんの腕を肘で突く杉山さん。
今にも僕に背中を向けようとする、そのとき。
……よし!
覚悟を決めた。


