ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】




地獄の底から這い出たような、体中に響く低い声。

と、次の瞬間。

――ゴロロロロッ。

雷鳴が戻り、我に返った。

「ぁ……」

肩に落ちる、これこそまさに救いの雨。

すぐさまうしろを振り返ると、木のそばに倒れている浩介。

「おい! しっかりしろ!」

抱き起こすと、ゾワリと立つ鳥肌。

「う゛あっ!!」

浩介が、カッと目を見開いたのだ。

鋭い眼光で、仰向けのまま空を睨んでいる。

「だ、大丈夫か!?」

「…………」

なにも言わず、浩介はそのままスッと立ちあがった。

第三者の僕でさえ、まだ足に力も入らないのに。

「どこ行くんだよ……ぉおい!」

「…………」

あまりのショックで、言葉が出ないのか。

だが、しっかりとした足取りで公園を離れ、駅の方向へ。

もちろん、まだ電車が走っている時間ではない。

東京育ちの割に歩くのが遅かったはずの彼が、まったく別人のように上野の街を颯爽と歩く。

「す、すみません!」

通行人と肩がぶつかっても、謝るのは後をついて歩く僕。

「なあ?」

タクシーのクラクションにも一切物怖じしない。

「なあって!」

僕の問いかけだって一切無視。

浩介は、駅についても構内には向かわず。

すぐ脇の長い坂を登る。

この先にあるのは動物園。

当然、閉園している門の前に、浩介は堂々と立った。

「なあ! どうしたんだよ!? 急にパンダでも見たくなったのか?」

雰囲気を変えるためのジョークにも反応せず、一点だけを呆然と見つめたまま。

「浩介?」

改めて顔を見ると、その目に生気がない。

時刻は3時28分。

いったいなんの目的で、ここへやって来たのだろう。

と……。