浩介→タクミ→杉山さん→ピンちゃん
数珠繋ぎの完成。
《怒りを象徴するような突然の雷鳴。もしや彼らは、“ダルマ女”の逆鱗に触れてしまったのだろうか──》
カメラを構えながら、そんなナレーションを思考の片隅で読みあげる僕。
……そもそも、本当に現れるのか?
呪いで人が死ぬなんて、フィクションの世界だけだと思っている。
暗い部屋でキーボードを叩く作家の頭の中で起こるものだと。
でも、現実にあるとしたら、僕はその場に立ち会える。
興奮して震える手で、レンズをのぞきこんだ。
恐怖に苛まれた顔、顔、顔、顔。
滑稽だ。
……くくっ。
不覚にもゆるむ頬。
3時3分。
ついに、やって来た。呪いの都市伝説を検証するときが。
浩介は声を震わせて唱える。
「ダ・ル・マ・さ・ん・が・こ・ろ・ん・だ」
――ゴロロロロッ。
「「…………」」
「ダルマさんが転んだ」
――ゴォロロロッ。
返事をするのは雷鳴だけ。
「ダルマさんが転んだ」
「「…………」」
「ダルマさ……」
「もういいっしょ! バカバカしくなってきた」
タクミは残念そうに言い、小指を離す。
「……転んだ! ……ダ・ル・マ」
「や、やめろって!」
それでもやめない浩介に、怒りをあらわにする。
「さ・ん・が転んだ」
「……おい! ふざけんなよ!」
たった1つしか変わらない長老、杉山さんもお出まし。
――ゴロロロロッ。
が。
――ゴッ……。
「ん!?」
異変に気付き、僕は構えていたカメラをおろした。
空は断続的に光り続けている。
しかし、雷鳴が忽然と消えた。
……風も。……雨も。
ピタリとやむ。
――キィィイ──ンッ。
「な゛なんだ!?」
「耳が痛(い)てぇー!」
異様なこの空気。
皆も感じている。“ナニカ”が来ると。


