土日をはさんで迎えた月曜日。
全校朝礼の冒頭で、妹へ黙祷が捧げられた。
嗚咽をこらえて、すすり泣く2年生。
中には哀しみに耐えきれず、倒れる子もいた。
「まだ全容は解明されていませんが、このような事件は二度と起こってはなりません。登下校時はできるだけ、集団で行動するように心掛けてください」
校長が切に訴える中、すぐうしろにいた延岡正人が、僕の肩に手を置く。
「お前、大丈夫か?」
「……なわけねぇだろ」
「だよな。あんなに可愛い妹を亡くしたんだ」
「…………」
僕が言葉を失くしていると、彼は神妙な顔つきのまま言う。
「ところで、あれだ。ことみちゃんの私物って、捨てちゃったりするのかな? もしあれなら、俺がもらってやってもいいぞ」
「おまえなぁ!」
僕は正人の手を払いのけた。
「そこ!! 静かに!」
厳粛な空気を切り裂く体育教師の恫喝。
「じょ冗談だよ! 怒んなって」
周りはバカばっかり。
コイツや、いまだ犯人を捕まえられない警察もそう。
おまけに葬式の場で、死んだ理由が呪いだとぬかすヤツもいる。
だが実際、携帯の画面に映っていたものが、少し気になっているのは事実だった。


