「ビンゴ」

最後の着信履歴、時刻は3時3分。

「その日の朝……10時頃だったかな……たまたま窓の外を見たんです。そしたら、家の前でこっちを見あげる菜摘がいました。あの目は普通じゃなかった……宇治木さん、菜摘が犯人です! 早く逮捕してください! 僕にとってことみは大事な存在だった……いや僕だけじゃない、家族にとっても!」

ほとばしる熱意でフロントガラスは曇りはじめる。

だが、彼の表情も、またしかり。

「最後の着信は、3時3分……」

なぜかその時間をつぶやき、眉間を指で強く押さえた。

「それが、なにか?」

僕の問いかけにハッとして、彼は書類を鞄に戻す。

「ううん! なんでもないよ」

――バタンッ。

「貴重な情報をありがとう。犯人逮捕に全力を尽くすから」

「はい。お願いします!」

「ん! じゃぁ……」

けたたましい音を立てて、車は走り去る。

見えなくなるまで見送りつつ、僕はいても立ってもいられない気持ちになっていた。

……ことみの事件を追いたい。自分なりに。

それが、僕の“きっかけ”だった。