僕には大切な人がいた。

それは、妹のことみ。

幼い頃から、ずっとずっと思い続けた叶わぬ恋。

腐った世の中の法律じゃ、僕たちは一生、愛し合うことができない。

だからせめて、永遠の約束がほしかった。

そのために近所に住んでいたイジメっこ、延岡正人を使い、妹をイジメさせる。

あのバカもことみが好きだったから、『使ってる歯ブラシをやるよ!』と言ったら、すぐ話に乗ったっけ。

事は完璧に進み……。

『おにぃちゃん。ことみのこと、ずっと守ってくれる?』

『うん! 守ってあげるよ』

『ホントぉ? じゃあ指切りしょっ!』

あの日の妹との“指きりげんまん”が、僕の生きる意味となった。

正人には今も秘密にしている。報酬が、未使用の歯ブラシだとは。

だって、少しずつ膨らんでゆく胸も、ベッドで眠るときの無防備な寝顔も、すらっとした足や、可愛い下着だって全部僕のモノだからね。

でもいつしか、それらを思い出にするのは惜しくなった。

形として残したくて、親に駄々をこねて一眼レフを買ってもらった。

これが中学3年生のとき、僕と写真との出会いだ。

今まで、自然の力が成せる奇跡ばかりを激写してきた。

女子高近辺に足繁く通い、強い風でスカートがめくれるのを待ったり、突然の大雨で制服が透けるのを期待したり。

だがもちろん、レンズに収めた数が一番多いのは、愛する妹。

すべての私物、その行動まで、部費をせしめて何千枚も撮った。

僕にとっての永遠のアイドルだ。