敏也の家宅捜索直前、ヤツはPCを破壊した。
鑑識が長い時間をかけてデータを復元すると、顧客情報のデータが入っていることが判明する。
客の中に警察関係者が複数いたことを知った上層部は、すぐにデータを隠滅。
あろうことか、事件そのものを闇に葬ろうと動きだす。
その足がかりとして、君江は警察の手で強制的に精神病院へ収監された。
さらに、矛先は長年尽くしてきた私にも。
強引に捜査へ加わったという服務規程違反で、全国指名手配。
『そんなの表向きな逮捕理由に決まってる! 上は、お前と君江さんを飼い殺す気だよ! だから逃げろ! 今すぐ!!』
それから、私は行くあてもなく逃げまどう日々。
君江には会えない。当然、敏也にも話を訊けない。
真相を確かめる術がなくなった。
そんな、ある日……。
手帳に挟まっていた一枚の古い写真を見てひらめく。
まず最初に、私は“死ぬ”ことにした。
もちろん本当に死ぬわけではない、世間的に“兵藤新八”を抹消するのだ。
断崖絶壁の端に靴と遺書を置き、持ってきた服を海に投げ、自殺を演出。
翌朝の新聞には目論見どおり、
【県警幹部 自殺】
の見出しが躍る。
次に、長年の情報網を活かし、闇医者を捜した。
写真を見せて一言。
『この顔にしてくれ!』
……2週間後、私は兵藤新八ではなく、“伊達重信”となって敏也に接見。
だが、なぜか敏也はすぐに気付く。私の正体に。
そして、待ち望んでいたように、真実のすべてを語った。
これは、伊達敏也の証言が基になっている。


