ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】




「磨理子と連絡が取れないの……」

君江は泣きながら私に言った。

「たまたまだろ!」

落ち着くように促しながら電話を掛けると、

《おかけになった電話番号は、現在使われておりません。番号を……》

ただ電源が切られていただけだろうと思っていた私は、呆気にとられた。

すぐに敏也の身元をデータベースで確認。

「な゛!? なんだ、ここれは……」

傷害。恐喝。レイプ。覚せい剤使用。

ヤツは文句なしのクズだった。

私は単身で大阪に向かう。

府警協力の下、敏也の令状を請求。

警察の規定には、身内が関わる事件を捜査できないという規則がある。

が、私は県警幹部の立場を利用して、磨理子が監禁されているかもしれない敏也の家の捜索に同行した。

『兵藤さん! 兵藤さん!!』

家に入ってから1分もしないうちに、ひとりの捜査員が青ざめた顔で私を呼ぶ。

呼ばれた部屋に入ると、

「ま、磨理子……」

しばらく、脳が目の前の光景を拒否する。

「磨理子なのか?」

6帖ほどの1室。ベッドの上にポツンと横たわる、手足のない全裸の女。

彼女は言った。

「ぉ……お父さん……」

それは、大切な大切な娘にまちがない証。

「ご、めん……ね」

力なく、そう言い遺して、意識を失う。

これが、最期に聴いた娘の声。

振り返ると、部屋の前で手錠を掛けられている敏也。

「フッ」

薄笑いを浮かべるヤツに、気付けば馬乗りになって殴りつけていた。

「貴ッ様ぁ゛ー!」

周りは家族を持つ者ばかり。それを止める捜査員はひとりもいない。

「悪魔め、悪魔め!!」

何度と拳を振りおろす。と……。

「俺は、本当の悪魔を知ってるぜ」

血まみれの口唇がハッキリと動く。

「アンタだけに教えてやるよ」

耳もとでささやかれた、ある場所。

そこには、小さな鍵があった。

私はこのことを報告せずに、鍵をポケットの中に入れて病院に向かう。