俺は君江と出会うまでのすべてを語る。

連鎖する友の死から、浦野との出会い、彼から教えられた病院の場所。

そもそも何故、4人の友が次々に死んだのか。

「磨理子が、たくさんの人を殺してる!?」

「えぇ。全国で数百人が、彼女の呪いで無惨な死を……」

「……呪い」

信じられないだろう。信じたくもないだろう。

しかし、残酷なようでもそれが事実。

「俺にも教えてください。いったい、なにがどうなってあなたは……」

話し終えると、より一層の混乱が襲ってきた。

「これを見れば、おのずと答えは見えてくるだろう」。

すると新八は、ある部分の床板を1枚だけ剥がし、下からビニール袋に入れた分厚い手帳を取り出した。

「それは?」

「キミのことだから、すでに知っているんじゃないか?」

含みを持たせる言い回しに、頭の中で、点と点が線を繋ぐ。

「もしかして……、顧客リスト!?」

「うむ」

幻だと思っていた物が今、俺の目の前にある。

丁重に両手で受け取り、留め具を外し、黒革に指をかけた。

「真実を知る覚悟はいいな?」

「ッ!?」

新八が意味深に問いかける。

俺たちは顔を見合わせて、小さくうなずいた。

硬化した革がパリパリと音を立て、ページがめくられる。

「ま、マジかよ……」

しばらく沈黙したあと、まっ先に声をあげたのは祐一郎だった。

それもそうだろう。

リストには……。

政治家。俳優。名司会者。スポーツ選手。

テレビをつけたことのある人間なら、誰もが知るような名前が書き連ねてあるのだから。

しかし、一際俺の関心を引いたのは、想定外の人物だった。

「どうして!? なんで!? あの人の名前がこ、ここに?!」