今日は土曜日。
最近は二人で帰ってくる皆の夕飯を作るのが日課だ。

そして今も買い出しを終えて、二人で台所に立っていた。

すると、ブーブーと俊哉の携帯が鳴る。

「あぁ、どした?……そうか、分かった。……うん、こっちは大丈夫だから。じゃあな」と電話を終えた。

「勇気、合コンだって。んで、友達のとこにそのまま泊まるってさ。」

「そっかぁ、じゃあちょっと残っちゃうね。冷蔵庫にいれとかなきゃね。」

「そうだな」


そして、テーブルのセッティングしているとポケットで携帯が震えた。メールだ。

『折角ご飯作ってくれてるのにごめん!慶太が風邪引いたみたいで今日は泊まってくる。本当ごめんね!』

と真波からのメールだった。

「トシさん、真波からで彼が風邪で今日帰れないって」

「まぁ、最近流行ってるみたいだしなぁ…、明日は何も作らなくても何とかなりそうだな」

(今日は3人でご飯かぁ、ちょっと寂しいな……)

そんな事を考えながら、幾太の帰りを待ってると…

「ただいま」
「幾太くん、お帰り!」

「由紀恵さん、ごめん。明日急遽他の店舗にヘルプ行くことになって。今から出なきゃ行けないんだっ」

「えぇーっ。幾太くんも?」

「火曜には戻るから」と自室のドアを開け放したまま、幾太はそそくさと荷造りをし始めた。

「え、も?もしかして、皆帰ってこないの?」
「うん、勇気くんは合コンだし、真波は彼が風邪引いたって」

「ふーん」

「何だよ、幾太お前もかよ、ったく」

「今日あっちの支店の人がダウンしたらしくって」

「そうか、しゃーねぇわな。頑張って来いよ。あっちの支店の方が大きいんだろ?」

「まぁね。いいチャンスかもね……よし、じゃ俺行くわ」
とボストンバッグを抱える幾太を玄関で見送る。

「じゃ、トシさんも頑張って」
とニヤっと口角を上げ、幾太は待っていた車に乗り込む。同じ仕事場の人なのだろう。

「余計なお世話だ。気を付けてな」とトシさんが手を上げると、静かに車は走っていった。