死なせるかっつーの。


けど愛は俺の言うことを聞かなかった。


「やだ!離して!」


確実に死のうとしてる。


そうとわかれば力加減してる場合じゃなかった。


「愛!!」


力の限り内側に引き込もうとしたけど、愛の踏ん張る力の方が強かった。


「頼むから死ぬなよ…!」


引いてダメなら、押す。


俺は愛と同じぐらいギリギリに立って愛の肩を押して内側に突き飛ばそうとした。


「嫌だ!!!もう死なせ─」


愛が抵抗した腕が俺の首に当たりそうになり、反射的に後ろにのけ反って避けたら、バランスを崩し─。


そのまままっ逆さまに地面へと墜ちていく─。


最後に俺が見たのは屋上でフリーズする、儚く消えてしまいそうな愛だった