「………とりあえず…車で来たから車まで戻るぞ」


車……?


「冷、車持ってた……?」


「大和の」


大和?


「ケンカしてたんじゃ……」


「……愛が危ないっつったら貸してくれた。交換条件付きだけどな」


交換条件の内容も気になったけど、いつまでも雨に打たれてるわけにもいかない。


私は、素直に冷と帰ることを決心して、1歩を踏み出す。


そのとき、すでに私の体は限界を越えてたみたいだね。


踏み出したはずの足に全く力が入らずにドサッと音を立てて、べちょべちょの草の上に倒れてしまった。


冷の前で倒れるのは2回目だ…。


また…倒れたらまた冷がいなくなっちゃう……。


「行か…ない……で……れ…い」


気は失っちゃだめだ……。


そう思う心に反抗するように、意識が遠退いていく。


今まで意識を失いたかったのに、皮肉なものだね……。


どうして神様はそこまで私をいじめるのですか……?