そうやって〝当たり前〟が次々に消えていくんだ。


「……いいけど、交換条件があるわ」


「…何?」


「家に帰ってきて」


………。


せっかく冷や真たちと仲良くなれたのに、帰らなきゃいけないの…?


帰りたくない……。


「……嫌だ」


あの家、他人の家だとは思えないくらいくらい居心地良くて、基本冷がいるから、一人じゃない。


寂しくもない。


「愛」


咎めるようなお母さんの口調。


「私、ずっと寂しかった」


知らず知らずのうちに気づかないふりして。


本当は寂しかった。