身代わりの姫



「もし、楽しめるなら、結婚して、楽しく過ごしてもよろしいのですね?」

穏やかな顔で、頷いた王が答えた。


「嫁ぐ名前はリリアだが、実際に嫁ぐのはアリアだ。

アリアにも幸せになって欲しい。


国の犠牲ではなく、運命だと…………思ってほしい」


運命………リリアが亡くなったことも、運命?

嫁ぐことも、運命。


「明日はどういったことになりますか?」


「バルテモン国からの使者が来て、王子の手紙を受け取り、こちらの返事を渡し、時間を決めて、両国で発表される。

使者を使い、交渉するが、ジルベール王子がここへ来るのは、その1ヶ月後。

式の後は、お前も国賓館で過ごす」


「私が?」


「王太子が一人で泊まってどうするのじゃ?

まあ、お前も、結婚したなら、国賓ということになる。


王子がいる間は、一緒に国賓館に泊まり、そのままバルテモン国に行くことになるだろう。

乗馬をたしなみ、明るい性格だと、伝えよう。


少しでも幸せに……」



複雑な気持ちで頷いた。



「結婚する前に、一度だけ、レオのところに行けませんか?」


じっと、私を見て、考えておこう、と王が言った。