一人で見つけた訳じゃない………そう言った。
ジルベール王太子だ。
ジルはこの辺りにまだいるのかもしれない。
さっき見かけたカップルはもういない。
いつの間に帰ったの?
オレンジ色に染まる砂浜から、水平線と夕陽がずいぶん近付いて、オレンジに反射する海を眺めていた。
動いて戻らなければ、と思うのに動けずにいた。
その時、足音が聞こえた。
「お疲れ様、サリ。
迎えに行くと言っただろう?」
その低い声に目を見開いて、胸が締め付けられて、体が硬直した。
「驚いた?」
声の方に、顔を向けた。
「……………ジル」
「髪を切ったんだな」
優しい目に、胸がドクっとした。
手を伸ばして、固まっている私の髪を撫でた。

