部屋に戻ると、ジルが起きて水を飲んでいた。
「戻りました、大丈夫ですか?」
「あぁ。サリ………」
抱きしめようとした、その腕から、逃げた。
「朝食を頼みましょうか?」
「頼む…………」
ベルを押した。
しばらくして食事が運ばれた。
全く食欲がなく、スープを飲んで時間を稼いでいるが、ジルは、気付いたらしい。
「食べてるか?」
「ええ、ちょっと息が上がってるだけよ?
落ち着いたら食べるわ。
そろそろ時間じゃない?」
「あ、あぁそうだな」
部屋の入り口まで見送る。
「午後からは謁見だ、そのときに、な」
はい、と呟いて頭を下げようとすると、抱きしめられた。
「何故、避ける?何故?」
「………そういうつもりは、ありませんわ」
「何か不満なのか?何かあったか?………」
喉の奥が締め付けられるのは、何故だろう。
でも、何も言わなかった。
その時、ドアがノックされた。
ジルから離れて、ドアを開けて出て行くのを見守った。

