身代わりの姫



昼食会。

日当たりの良い中央の館の広い食堂で、王と王妃、妹の王女コリーヌ姫、ジルと昼食をとる。


「お兄様、なんだか幸せそうね。
いつも、元気でしたいことをする人だったけど、ちょっと違うわね、リリア様はまだ緊張してるのかしら?」

「緊張、してるように見えます?すみません」


「まあ。そのうち緊張しなくなるわ。
だって、ジルベールの選んだ人だもの」


そうだな、と笑う王に


「あの、それは………どのような意味で?」

と聞くと


「聞かない方がいいぞ。もう少し労れよ」

ジルが会話を終わらせた。



「でも、リリア様って顔が小さくて、目がパッチリ二重で羨ましいわ。
私なんて、どう見てもお兄様の妹だから……」


「コリーヌ王女はとても華やかな顔立ちですわ。鮮やかなドレスが似合うのでしょうね」


「良かったわね、コリーヌ」


「お母様、私、顔立ちはお母様に似たかったわ」

アーモンド型の目にスッとした鼻。薄すぎない口角の上がった口元。


驚くほどキレイな顔立ちの王妃だった。


「選べるなら選ばせてあげたかったわ」


「ひどいわ」

笑いながら言うコリーヌ姫にみんなで笑った。


「あなたは、お祖母様に似ているわね、リリア」

「ご存知ですか?」

「ええ。幼いころシュリベルト国の遠い親戚の所に遊びに行き、しばらく過ごしたことがあります。
そのときに、当時の国王夫妻にも会いました。
あなたの祖父母に当たる方ですわね。

明るくて、気さくな方でした。

覚えていますよ」


言葉もなく驚いていると、


「そんなことがあったのか」


と国王が言って、誰も知らなかったことに、笑った。