それでも迷いは一瞬だった。

 誰かのことを思ってお茶を選ぶのがどんなに楽しいか、自分が淹れたお茶を美味しいと言ってもらえることがどんなに嬉しいか……アリシアはよく知っているのだから。



「分かりました。是非やらせてください」



 堂々とした態度で告げたその姿は、漫画に登場した“アリシア・リアンノーズ”よりもさらに気高く美しい令嬢に見えることに、本人は気づいていない。