翌日。アリシアはワンピースから動きやすい作業用の服に着替え、長い髪は一つにまとめて結い上に大きな帽子をかぶった状態でミハイルの元へ行った。



「本当にやるんですね?」


「もちろんです」


「……もう何も言いません」



 ミハイルは、もう諦めたといった様子でアリシアにスコップを手渡した。


 駆除の手順としては、まずミントを片っ端から摘み取り、ドライミントを作る。それから土の中に残った根を掘り返すといった感じだ。

 摘み取るのにも時間がかかるのだから、そのまま掘り返しても良いが、そうするとミントが土まみれになり洗うのに手間がかかる。



「じゃあ、始めましょうか。ミハイルさん」



 途方もない量のミント。本当は丸一日かけて作業をしたいところだが、既に昼時を過ぎて午後。アリシアは明るい時間帯に帰らねばならないし、ミハイルだってこれにばかり時間を割けない。1日の作業は3時間ほどが限界だろう。2、3日は見ておかなければ。


 ミントを数本紐でくくって干し、それから地面にスコップを突っこんで掘り返す。何度も繰り返し、全体の3分の1ほどが終わったところで、その日は帰る時間になってしまった。